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表1 会津~宮城の距離 |
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区間 |
鉄道(JR) km
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高速道 km
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会津若松市
~
郡山市 |
「磐越西線」
会津若松駅
~
郡山駅 |
64.6 |
「磐越道」
会津若松IC
~
郡山JCT |
46.1 |
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郡山市
~
仙台市 |
「東北新幹線」
郡山駅
~
仙台駅 |
125.1
(111.5)
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「東北縦貫道」
郡山JCT
~
仙台宮城IC |
112.2 |
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会津若松市
~
仙台市 |
会津若松駅
~
仙台駅 |
189.7
(176.1) |
会津若松IC
~
仙台宮城IC |
158.3 |
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備考:JRのキロ数は時刻表による営業キロで、( )内の値は新幹線の実キロ及び実キロを使用した合計値である。
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会津若松市~仙台市間の距離は、高速道が鉄道より31.4km(新幹線の実キロでは17.8km)短い。これは高速道郡山JCTが郡山駅の北方約10kmに位置していることと、鉄道のルートが高速道より迂回しているためである。
◎ 会津~宮城の到達時間の現状 (2014年12月現在)
公共交通機関を利用した会津若松から仙台までの到達時間の現状を表2に示す。
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表2 会津~宮城の到達時間現状 |
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区間 |
鉄道(JR)
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高速バス
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会津若松市
↓
仙台市 |
「磐越西線」
会津若松駅
↓(快速)
郡山駅 |
1時間00分 |
若松駅前BT
↓
仙台駅東口
「磐越道」
「東北縦貫道」
経由 |
2時間25分
吾妻PAで
10分間休憩 |
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郡山駅乗り換え |
7分 |
「東北新幹線」
郡山駅
↓(やまびこ)
仙台駅 |
43分 |
合計 |
1時間50分 |
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備考
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・2点間の到達時間は方向により異なることがある。本報告では、会津若松→仙台の所要時間を基本とした。
・鉄道は、会津若松駅→郡山の快速列車(5本)とこれに接続する郡山→仙台の東北新幹線やまびこ号による所要時間の中の最短時間とした。最短時間は3本が1時間50分になっており、本表では3本のうち会津若松9時10分発の快速列車を例として記している。
・高速バスの会津若松市内始点は、鉄道との比較のため会津若松駅に近い若松駅前BTとした。運行上の会津若松市内の始点は鶴ヶ城合同庁舎前であり、若松駅前BTとの間の所用時間は10分である。
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・
鉄道
磐越西線会津若松→郡山に運行されている5本の快速列車の到達時間は59分(標定速度:65.7km/h)から1時間5分であり健闘している。この快速列車5本はすべて郡山駅で下り東北新幹線やまびこ号に5分から10分の乗り換え時間で接続しており、接続ダイヤとしては申し分ない。新幹線の高速性が寄与し会津若松→仙台の到達時間は2時間を切る1時間50分(標定速度:96.1km/h(新幹線実キロ使用))となっている。
運行会社はJR東日本。
・高速バス
会津若松⇔仙台に8往復運転されている。到達時間は全便2時間25分(標定速度:69.5km/h(バス停からICまでの距離を、
若松駅前BT~会津若松ICは2.8km、仙台駅東口~仙台宮城ICは6.8kmとした))である。
運行はジェイアールバス東北㈱と会津乗合自動車㈱による共同運行で、それぞれ4往復運行している。
磐越道が郡山JCTから会津若松IC・会津坂下ICまで供用開始されたのは1992年(平成4年)10月であるが、会津若松・仙台間の高速バスは6年後の1998年(平成10年)7月から運行を開始している。
2003年(平成15)年4月には会津若松の起終点が若松駅前BTから鶴ヶ城合同庁舎前に延長、2012年(平成24年)9月には土・日・祝日の2往復が仙台の起終点を仙台駅東口から三井アウトレットパーク仙台港に延長している。
会津若松・仙台間高速バスの時刻表
高速バスを利用した会津若松⇔仙台間の交通は、このほか会津若松⇔郡山、郡山乗り換え、郡山⇔仙台の経路もある。
・鉄道と高速バスについて
高速バスは鉄道に比べ到達時間が35分長いものの、便数が8往復と多いこと、乗り換えがないこと、仙台、会津若松とも市内に停留所があり利便性が高いこと、片道運賃がバスの2,900円に対し鉄道は新幹線特急料金を含め5,780円(新幹線は自由席を利用)と割高であること、等の面で鉄道より優位である。
バス運行会社によると、年間の利用客数は10万人余である。
◎ 会津~宮城の到達時間の変遷
会津~宮城の到達時間の変遷は、1998年(平成10年)の高速バス運行開始までは鉄道の歴史である。
その歴史は次の6段階に分けて考えられる。(以下、線路名、駅名は現在のもの)
①東北本線上野・仙台間開業(1887年(明治20年))
②磐越西線郡山・会津若松間開業(1899年(明治32年))
③磐越西線郡山・会津若松間開業後の磐越西線の状況
④会津⇔仙台間直通準急列車運行開始(1959年(昭和34年))
⑤東北本線高速化(1968年(昭和43年))
⑥東北新幹線開業(1982年(昭和57年))
各段階の会津~宮城の到達時間の変遷を表3に示す。
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表3 会津~宮城の到達時間の変遷 |
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①
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東北本線上野・仙台間開業
東北本線が仙台まで開業したとき、郡山・仙台間は5時間3分。
1887年(明治20年)12月15日、上野から青森に向けて順次建設が進められてきた東北本線は、郡山~仙台・塩釜(旧塩釜港駅、廃止)間が開業、上野発・仙台間に1往復の列車が設定された。下りは郡山発14:17、仙台着19:20で、郡山・仙台間の所要時間は5時間3分(標定速度:24.8km/h)である。
磐越西線は未開通で、会津若松~郡山間(約60km)は徒歩で二日間は要していたものと思われる。
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② |
磐越西線郡山・会津若松間開業
磐越西線が会津若松まで開業したとき、郡山・会津若松間は2時間45分。
1899年(明治32年)7月15日、郡山から会津若松に向けて建設が進められた磐越西線は、郡山・会津若松間が全通開業した。東北本線仙台までの開業に遅れること12年、この年4月1日には若松に市制が敷かれている。
郡山・会津若松間には3往復の列車が設定され、2時間45分(標定速度22.9km/h)で結んでいる。
東北本線郡山→仙台間の到達時間は1891年(明治24年)から1902年(明治35年)までの時刻表によると最短4時間20分(標定速度:28.9km/h)程度である。磐越西線列車との接続状況が不明であるが、乗車時間で見れば、会津若松→仙台の到達時間は7時間5分程度(標定速度:26.7km/h)である。
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③ |
磐越西線郡山・会津若松間開業後の磐越西線の状況
1904年(明治37年)1月20日 会津若松・喜多方間開業
1910年(明治43年)12月15日 喜多方・山都間開業
1913年(大正2年)8月1日 山都・野沢間開業
1914年(大正3年)11月1日 野沢・津川間開業、磐越西線全通
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2014年11月1日、磐越西線全線開通100周年を記念し、会津若松・新潟間に「磐西全線開通100周年」号が運転された。(写真は喜多方・山都間)
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新津・津川間は1913年(大正2年)に開業しており、野沢・津川間の開業で磐越西線は郡山・新津間が全通した。上野・新潟間は磐越西線経由が最短ルートとなって夜行直通列車が運転され、所要時間は約12時間30分と記録されている。上越線清水トンネルが完成し、上野・新潟間の主要ルートが上越線経由になったのは1931年(昭和6年)である。
戦前すでに、郡山→会津若松は2時間1分に短縮。
郡山→会津若松の到達時間は開業時2時間45分を要したが、1925年(大正14)には2時間12分、1942年(昭和17年)には2時間1分に短縮されている。1956年(昭和31年)には1時間55分(標定速度:33.7km)が記録されており、蒸気機関車による各駅停車の運転における限度と思われる。
次項「④会津⇔仙台間直通準急列車の運行開始」の直前1959年(昭和34年)4月の時刻表による会津若松~郡山~仙台の状況は次の通りである。
・会津若松→郡山
各駅停車のみ9往復運転され、会津若松→郡山の最短運転時間は2時間0分である。
このうち4本の列車の一部が郡山で東北本線上野行き列車に併結され上野に直通している。3本は昼行の急行または準急で、会津若松→上野の最短到達時間は6時間23分(標定速度:45.1km/h)である。1本は夜行の普通列車で会津若松→上野に7時間58分を要している。
・郡山→仙台
郡山→仙台には3本の急行が運転され、最短到達時間は2時間24分(標定速度:52.1km/h)である。
この時期郡山・仙台間は電化されてなく、蒸気機関車牽引である。
DC直通準急運転直前の会津若松→仙台は5時間17分、仙台→会津若松は4時間53分。
・会津若松→仙台
会津若松→郡山の普通列車から郡山→仙台の急行列車に乗り継ぎ(乗り継ぎ時間49分)、会津若松→仙台の最短到達時間は5時間17分(標定速度:35.9km/h)である。
仙台→会津若松では、郡山駅での乗り継ぎ時間が短く(29分)5時間を切る4時間53分(標定速度:38.8km/h)で到達している。
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④ |
会津⇔仙台間直通準急列車の運行開始
DC直通準急運転により、会津若松→仙台の到達時間は3時間47分に短縮。
1959年(昭和34年)9月22日 新潟・会津と仙台を直通で結ぶ画期的な気動車準急が運転を開始した。喜多方と仙台を結ぶ「準急あいづ」と新潟と磐越西線経由で仙台を結ぶ「準急あがの」の2本である。
「あいづ」は喜多方→仙台を4時間6分で、会津若松→仙台を3時間47分(標定速度:50.1km/h)で結び、喜多方⇔仙台の日帰りが可能となった。
1960年(昭和35年)6月1日「準急あがの」は2往復に増発され、会津と仙台を結ぶ直通優等列車は3本体制となった。1961年(昭和36年)7月のダイヤでは「準急あがの」が喜多方→仙台を3時間52分で、会津若松→仙台を3時間35分(標定速度:52.9km/h)で結び、この系列の列車の最短時間を記録している。
1965年(昭和40年)10月1日のダイヤ改正で「準急あいづ」は増結された車両が会津若松で分割・併合され、会津川口(その後只見まで延伸)と会津田島まで運転され、会津地方と仙台間の交通の利便性は向上した。
これらの3本の仙台直通優等列車はその後名称変更(「あいづ」→「いなわしろ」)、「急行」への呼称変更があるなかで活躍したが、東北本線優等列車の高速化・増発により仙台直通列車としての使命は薄れ順次廃止されていった。
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⑤ |
東北本線高速化
東北本線の高速化・増発で、会津若松→仙台は2時間50分に
東北本線大宮以北の電化工事は、1956年(昭和31年)8月3日大宮・宇都宮間の着工以来順次進められ、1968年(昭和43年)10月1日には青森まで完成している。
青森電化に際し、上野・仙台間に昼間特急電車8往復が運転され、最高運転速度が120km/hに向上された。仙台・上野間は4時間32分から3時間53分(標定速度:89.7km/h)に39分短縮され、郡山→仙台は1時間30分(標定速度:83.4km/h)になった。
会津→仙台は、会津若松→郡山の電車急行から郡山→仙台の特急に乗り継ぐと、2時間50分(標定速度:70.0km/h)になった。
その後東北本線の特急電車はL特急として増発を重ね、郡山での乗り継ぎは利便性を増した。
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⑥ |
東北新幹線開業
東北新幹線が開業し、会津若松→仙台は2時間00分に
1982年(昭和57年)6月23日、東北新幹線は大宮・盛岡間が暫定開業した。この年11月15日には同区間で本格開業、列車本数も増発され、会津若松→郡山の電車急行から新幹線に乗り継ぐと、会津若松→仙台の最短到達時間は2時間00分(標定速度:88.1km/h)になった。
この後、磐越西線の改良による高速化と新幹線最高運転速度の向上により、現在の到達時間1時間50分に短縮されている。
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会津→仙台直通DC準急運転直前から現在までの、高速バスを含めた到達時間の変遷を表4に示す
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表4 会津若松→仙台 最短到達時間の変遷 |
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時期 |
会津若松→仙台到達時間 |
記事 |
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1959年(S34)4月
直通DC準急運転前 |
(仙台→会津若松)
4時間53分 |
東北本線急行から
磐越西線各停に乗り継ぎ |
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1959年(S34)9月
直通DC準急運転 |
3時間47分 |
直通DC準急 |
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1968年(S43)10月
東北本線特急高速化 |
2時間50分 |
磐越西線急行から
東北本線特急に乗り継ぎ |
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1982年(S57)11月
東北新幹線開業 |
2時間00分 |
磐越西線急行から
東北新幹線に乗り継ぎ |
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1998年(H10)7月
高速バス運行開始 |
2時間25分 |
直通高速バス |
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現在
東北新幹線乗り継ぎ |
1時間50分 |
磐越西線快速から
東北新幹線に乗り継ぎ |